B-Pのことば
最後のメッセージ
B-Pが生前、スカウトに向けて書かれたメッセージです。
スカウトのみなさん
”ピーターパン”の劇を見たことがある人なら、海賊の頭目がたぶん死ぬときには、最後の演説をするひまはないと思って、いつもその演説をしていたことを覚えているだろう。私もそれと同じように、今すぐ死ぬわけではないけれども、その日は遠くないと思うので、君たちにさよならと別れの言葉を贈りたい。
これは、きみたちへの私の最後の言葉なのだから、よくかみしめて読んでくれたまえ。
私は、非常に幸福な人生を送った。きみたちみんなも、同じように幸せな生涯を送ってもらいたい。
私たちが、幸せに暮らし人生を楽しめるようにと、すばらしい世界に神様は生まれさせて下さったのだと、私は信じている。
金持ちになっても、社会的に成功しても、わがままができても、それによって幸福にはなれない。
幸福に一歩近づく道は、少年の時に体をじょうぶに強くすることで、そうすれば大人になったとき、役に立つ人になる。自然を研究すると、神がこの世を美しいもの、すばらしいものに満ち満ちた、楽しい所におつくりになったことがよくわかる。今与えられたものに満足して、最善をつくし、物事に希望をもって、悲観的にならないようにしたまえ。
しかし幸福を得るほんとうの道は、他の人を幸福にすることにある。この世の中を、君が受け継いだ時より、少しでもよくしてあとに残すように努力したなら、死ぬ時が来ても、とにかく自分は一生をむだにしないで最善をつくしたのだという満足感で、幸福に人生を送り幸福に死ぬために、この考えで常に備え、いつもスカウトの誓いを守り、大人になってもそれを忘れないことだ。
どうぞきみたちにそれができるように、神よ、お守りください。
ベーデン・パウエル・オブ・ギルウェル
創始者ベーデン・パウエル卿(私たちは尊敬や親しみをこめてB-Pと呼んでいます。)はイギリス生まれの軍人です。
幾度の危機を乗り越え英雄と称えられました。退役後、「Scouting for Boys」を出版。この本を基にボーイスカウト・ガールスカウトが結成されました。
B-Pは兵隊教育をしようとスカウト活動を始めたわけではありません。野外での生活をもとに協調性・感謝する心・奉仕する心を持った子供たちを育てようとしました。
議論したり、けんかしたりする前に、相手の立場になって考えてみよう。そうすれば十中八九はその人とうまくやっていけるだろう。
挿絵:B-P
自分のカヌーは自分でこげ。
だれか他の人にこいでもらおうと思ってはいけない。
途中、さまざまな困難、危険、浅瀬、嵐などに出会うだろう。
けれども、もし冒険がなかったら人生は死ぬほど退屈なものであろう。
挿絵:B-P
ほほえみはどんな困難にも打ち勝つ勇気を与える。どんな困難にも、苦しみにも、危険にもほほえみをもって接することのできる人は自分自身に自信を持てるばかりでなく、周囲のだれにも自信をもたせる。
挿絵:B-P
周囲を見渡して、自然の驚異についてできるだけ多くのものを学び取り、あなたに与えたもうたさまざまの美とおもしろさを。
挿絵:B-P
人生の目的とすべきもの、それは次の三つである。
BODY―丈夫で健康な身体。
MIND―何が必要とされているかを素早く読みとって、それを行うことができる頭脳。
SPIRIT―どんな犠牲を払うことになっても、正しいことを行う精神。
挿絵:B-P
困難という扉のない壁にでくわした時には、思い出してほしい。
最初はそれが高く見えるかもしれないが、近寄って調べて見ると、裂け目や割れ目があり、それが乗り越えれそうだということが分かるだろう。
そして、もしその壁によじ登れないとしても、十中八九は回り道があるものである。
挿絵:B-P
スカウトの誓いを立てたら、名誉にかけて「毎日誰かにひとつ善いこと」をすることだ。
しかし、スカウトは一日にたったひとつだけ善いことをすればよいと言うふうに、考えてはいけない。
スカウトはひとつは善いことをしなければならないが、もし50個出来るなら、それに越したことはない。